豊原国周筆の縦三枚続き木版画「佐倉宗吾傳」が入荷しました。
国周が得意とする三枚続の大胆な構図が際立つ傑作ですが、その背景を知るとより深く味わうことができます。
千葉・佐倉藩の名主であった佐倉惣五郎（宗吾）は佐倉藩主・堀田公の圧政に苦しむ農民を代表して将軍徳川家綱に直訴し、年貢の取り立ては軽減されることとなりました。
しかし藩主としての面目を潰された堀田公は激怒し、惣五郎とその家族全員を惨殺してしまいます。その事件以後、堀田家に怪奇現象が続き、遂には藩主の座を改易(更迭)されました。人々は惣五郎の怨霊と怖れ、神社に祀りその霊を鎮めました。
義民・惣五郎は歌舞伎、浪花節、物語の題材に好んで取り上げられ、福沢諭吉ら知識人たちにも信奉者が多くいます。
当作品は歌舞伎の一コマで化けて出た惣五郎の妻・お欽が山住五平太に襲いかかる様子を描いています。
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